龍神木

境内のほぼ中央に、昭和19年(1944)、県から天然記念物に指定された大きな欅(けやき)の古木がある。平成29年(2017)の時点で、幹周り9.1m、樹高26.2m。地上2.4mのところから五幹に分かれ、南北に26.3m、東西25.5mに枝を広げる生命力にあふれた大樹である。この地に祀られている龍神の住み処として信仰を集め「龍神木」と呼ばれているが、ほかにも古来から伝わる名前がある。

「千年欅」
いつからか「千年欅」と呼ばれていた。県から天然記念物の指定を受けた昭和19年には樹齢約500~600年と判定された。平成7年(1995)夏、樹木医の診断により「千年はゆうに越えている」と指摘された。

「駒つなぎの欅」
江戸時代に武士が馬をつないだことから「駒つなぎの欅」と呼ばれるようになったとされる。以前は「家康駒つなぎの欅」と呼ばれていた。

「洞木(どうぎ)」
トップページのスライドショーにある通り、龍神が祀られるのには三つの条件があるといわれる。武甲山という霊山があり、龍神木に洞があり、龍神池の湧き水がある。この三つがそろっているため役行者は八大龍王をここに祀ったとされる。 龍神木の上には大きな洞があり、そこに龍が住んでいると言い伝えられてきた。
それを裏付けるような出来事が平成3年(1991)12月30日午後1時30分頃にあった。そのとき元旦祭の準備のため、氏子たちが集まってご社殿の清掃をおこなっていた。ご神体として奉安していた龍神を清めようとして社殿の前に運び出すと、そのまわりに風が舞い起こり、見る見るうちに竜巻となった。居合わせた宮司はかしこみて警蹕(けいひつ)を上げ、その様子を目にした氏子たちは一斉に驚きの声を上げた。竜巻は龍神から飛び上がり、空を駆けて、20メートルほど離れた龍神木の上の洞のあたりに吸い込まれるように消えた。
なお、この洞には、長年に亘り、フクロウ(アオバズク)が飛来する。毎年5月頃南国より飛来したフクロウは、夏のあいだ樹洞にて子育てをし、10月頃には再び南国へと巣立ってゆく。