八大龍王神

釈迦生身(しょうしん)の眷属(けんぞく)であり高い神格を持つ。水を司り、水分の神でもある。法華経が説かれたときに王舎城(おうしゃじょう)霊鷲山(りょうじゅせん)に坐しました龍神らで、冒頭にその御名が登場し、ほぼ終わりにある観世音菩薩普門品第二十五において最上の悟りの境地、阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)に至る。

8世紀初頭、役行者によって当地に奉斎されたと伝えられている。当社縁起によれば、大宝年間、山岳修行中の役行者がたまたまこの地に立ち寄り、村人から深山幽谷に悪獣毒蛇が出てきて困り果てていると聞き、仏法の守護神である八大龍王を祀って信心堅固に悪獣毒蛇の降服を祈り、ついに難を逃れたことから以降八大龍王をお祀りし「大宮山八大龍王宮」または「八大宮」と称するようになったという。

明治政府の神仏分離令、修験道廃止令により仏教色の強い「八大龍王」の奉斎は禁じられたが、その後も「靇(おかみのかみ)」と呼称を改め信仰を集めた。秩父今宮神社では境内の龍神木の樹洞にて祀り、塩谷啓山(1876~1945)の感得した文字でそのお姿としている。